SNSで「生姜を皮ごとすりおろし、2週間開けずに置くと発酵して半年もつ」という投稿を見かけました。
発酵によって保存性が高まり、冷蔵保存で長期保存が可能になるという内容です。
とても魅力的な方法に思え、実際に私も試してみました。
しかし結果は失敗。変色と異臭が起こり、継続保存できる状態ではありませんでした。
そこで本当に発酵によって保存性が高まるのかを検証するため、条件を整えた保存性比較実験を行いました。
今回は、生姜のみの保存と、保存性を高めると言われる米麹を加えたものを対照にし、冷蔵庫で2週間観察しました。
実験方法|冷蔵保存で生姜のみと米麹入りを比較
用意したのは以下の2種類です。
- 皮ごとすりおろした生姜(生姜のみ)
- 同条件の生姜に米麹を加えたもの
どちらも同日に仕込み、清潔な容器に入れ、冷蔵庫で保存しました。
SNS情報に倣い「2週間は開けない」という条件も守っています。
観察項目は以下の3点です。
- 色の変化
- 香りの変化
- pH値の変動
保存環境は冷蔵のみ。常温保存は行っていません。家庭の一般的な冷蔵庫環境での変化を記録しました。
これは、以前生姜麹を作ったのですが、1年以上ももったから。
生姜麹には塩が入っており、塩の保存性が大きいとは思いつつ、麹の保存性はどうなのかを検証してみたかったのです。
2週間後の結果|発酵ではなく変質だった
結果は、両方とも2週間持ちませんでした。
両方とも表面が薄い茶色に変化し、明らかな異臭が発生しました。
特に生姜のみのほうが色の濃化が目立つ傾向がありました。
pH値も発酵しているならPh試験紙がピンク色になるはずが、変化がありませんでした。
安定的な発酵食品の範囲とは言い難い変動を示し、安全に保存できる状態ではないと判断しました。
見た目や香りの変化から判断すると、安定した「発酵」ではなく、望ましくない変質が進んだと考えられます。
「半年もつ」という状態とは明らかに異なる結果でした。
なぜ発酵しなかったのか|考察
今回の実験では、米麹入りであっても保存期間の延長は確認できませんでした。
米麹には酵素が含まれており、でんぷんやたんぱく質を分解する働きがあります。
でんぷんを分解し、できたブドウ糖を利用して発酵が進むため、でんぷんや糖質をほとんど含まない生姜は発酵が起こりにくいようです。
発酵が優位に進むためには、
- 十分な塩分濃度
- 適切な温度環境
- 優勢な微生物の存在
- 初期の衛生管理
といった複数の条件が必要です。
麹を加えれば自動的に保存性が高まるわけではありません。
発酵と腐敗は条件次第で方向が分かれます。今回の条件では、安定した発酵状態を作るには不十分だったと考えられます。
米麹は分解を促しますが、必ずしも長期保存を保証するものではないことが分かりました。
発酵と保存は同じではない
今回改めて感じたのは、「発酵=長期保存」ではないということです。
味噌や醤油のような発酵食品は長期保存が可能ですが、それは塩分濃度や水分活性、微生物環境が厳密に設計されているからです。
単に材料を混ぜて置いておくだけでは、同じ状態にはなりません。
SNSでは「簡単」「置くだけ」と紹介されることもありますが、保存性には必ず条件があります。
今回の失敗は、その条件が明示されていないことへの気づきでもありました。
まとめ|SNS情報は条件まで検証する必要がある
生姜を2週間開けずに置けば半年もつ、という説を検証した結果、今回の環境では再現できませんでした。
冷蔵保存でも2週間で変色と異臭が発生。発酵と腐敗は紙一重であり、条件が整わなければ安定は難しいと分かりました。
中々楽しい実験でした。