研究ノート

【研究ノート 酒粕-01】酒粕を救え!チーズケーキで探る「酒粕の旨味」黄金比検証レポート

私の研究ノートは、地域が抱える「もったいない」や「困っている」という食の課題を、探求を通して解決していくための記録です。

毎年、全国の酒蔵では、酒米の約4割が酒粕となり、処理に困っているという現実があります。

栄養の宝庫である酒粕を、ただ余らせてしまうのはあまりにも惜しい。

しかし、この酒粕を苦手とする人は多く、その独特の風味やアルコール臭が消費の壁となっています。

私は、酒粕の消費を増やし、酒蔵の課題を解決するため、万人受けするレシピの開発に着手しました。

その動機となったのは、私自身が経験した決定的な失敗でした。

はじめに:なぜ、私は酒粕を研究するのか

決定的な失敗体験:酒粕ティラミスの教訓

私は、お酒が苦手でありながら粕汁だけは大好物です。この矛盾した感覚が、私の研究の出発点となりました。

酒粕ティラミスの講座を受けた際、蒸して充分にアルコールが飛んでいるはず。

それなのに、何回作ってもアルコール臭が強く残ってしまい、大きな挫折を味わいました。

ただ、お酒が好きな人にはおいしかったようですが...私はお酒が苦手な人でも、おいしいものを作りたい!

この失敗から、私は一つの疑問を持ちました。

加熱時間が短くて100度で蒸す工程では、酒粕の旨味を活かすどころか、アルコールの風味を強く残してしまうのではないか?

研究計画:濃厚なコクと長時間加熱への移行

失敗の分析:ティラミスクリームの「淡白さ」の限界

ティラミスの失敗を分析すると、ティラミスクリームの材料である火入れ酒粕クリームに加えた絹豆腐は淡白でほとんど味がない。

酒粕のアルコールや臭いを打ち消す「盾」になれなかったことが原因ではないかと考えました。

酒粕が苦手な人たちを切り捨てないためには、加工方法そのものの見直しが必要だと痛感したのです。

最初のターゲット:酒粕チーズケーキの可能性

失敗の教訓を踏まえ、私は研究戦略を「長時間加熱」「濃厚さによる包み込み」の二段構えに定めました。

絹豆腐の淡白さの反省から、クリームチーズの濃厚な「コク(脂質)」なら、酒粕の風味やアルコール臭を力強く包み込み、抑え込めるはずだと仮説を立てました。

さらに、アルコール分がしっかりと飛びやすいベイクドタイプのチーズケーキを選びました。

【実験開始】:「酒粕を増やし続ける」反比例作戦へ

「美味しく食べられる」という土台ができた今、ここからが酒蔵の課題解決に向けた本番です。

酒粕の消費量を増やすため、私は酒粕とクリームチーズの量を反比例させて、どこまで美味しく食べられるかを実験していきます。

基本レシピと酒粕増量検証

酒粕チーズケーキ基本レシピ

【材料】

  • 生クリーム...100cc
  • クリームチーズ...200g
  • 酒粕...50g
  • レモン汁...大さじ1
  • グラニュー糖...70g
  • 卵...1個
  • 薄力粉...大さじ3
  • ビスケット...50g
  • バター...30g

基本のレシピは、もちろんおいしい。酒粕の風味もほぼありません。普通のチーズケーキと変わりません。

酒粕をどこまで増やせるか。実験は、次の二つのパターンで、限界に挑戦します。

実験パターン

  • パターン2: クリームチーズ 150g : 酒粕 100g
  • パターン3: クリームチーズ 100g : 酒粕 150g

実験結果と考察:驚くべき「旨味の境界線」

反比例作戦の結果と「限界」

味の判定は、ご近所のみのるさん、かずえさんご夫妻に依頼しました。

みのるさんは、どちらかというとお酒は得意ではありません。かずえさんは、お酒が大好き。一人晩酌もなさいます。

お二人に試食していただいた結果、酒粕100gでは言わなければ酒粕が入っているか分からないとのことでした。

酒粕が150gも入ると、さすがのお酒好きなかずえさんでも、ちょっとアルコールが強いかなという印象のようです。

私も、味見をしてみました。数口食べた程度ではそれほど違いがわかりませんでした。

しかし、ホールの1/8を食べると、だんだんアルコール感が強く感じられました。

【考察】酒粕を「旨味」として活かすための黄金比

酒粕入りのチーズケーキを美味しく作る黄金比は、酒粕:クリームチーズが100g:150gという結果に。

酒粕を120gくらいでもいいのでは?とかずえさん。いつか、チャレンジしてみることにしました。

また、酒粕50gでは全体的にどっしりと硬めでしたが、100g以上ではしっとりしていて、食感も良くなり非常においしかったです。

次のステップ

次の研究テーマ(【酒粕-02】)を予告する

今回の研究で黄金比を見つけられましたが、酒蔵の課題解決のためには、このレシピだけでは不十分です。

今後はこの黄金比を活かし、さらに酒粕を美味しくする「隠し味」の検証や、別の万人受けスイーツの開発に挑戦していきます。

酒粕をただの「処分品」ではなく「地域の宝」に変えるため、私の研究は続きます。

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