酒粕って、粕汁くらいしか使いみちがなくない?と思っていませんか。
とんでもない!鍋はもちろん、メイン料理や副菜、グラタンやシチュー、そしてスイーツにも使えますよ。
私が住む姫路は播磨地域になりますが、現在も多くの酒蔵が残っています。そして12月になると、「酒粕詰め放題」が待っているのです。
頑張れば約5kgほど、今年は税込み1,300円で手に入れることができます。
そんな大量の酒粕どうするの?と思われますが、健康のため、美容のためにと使ううちになくなるのです。
この記事では、酒粕がどのように生まれるのか、発酵食品としての効果、残りがちな酒粕をどう消費するかを解説します。
ぜひ、最後まで読んでくださいね。
酒粕とは?日本酒造りの副産物から生まれる宝物
私が住む兵庫県は、酒造りの歴史が長く、良質の山田錦が収穫でき、酒造りに欠かせない良質な水質をもつ水源も備えています。
兵庫県のお酒は、神戸は灘の白鶴や菊正宗だけではありません。兵庫県には、灘、丹波、伊丹、但馬、そして播磨という酒どころがあります。
お酒があるところには、酒粕があります。しぼり粕ですからね。
私もここ10年は、姫路の酒蔵の酒粕を入手し料理に使っていますが、スーパーに売られている酒粕よりも味が格段においしいのです。
あなたも、お近くの酒蔵を探してみませんか。
酒粕の成分組成
食品成分表によると、タンパク質14.9g、脂質1.5g、炭水化物23.8g、食物繊維5.2g、ビタミンB1-0.03mg、ビタミンB2-0.26mgが含まれます。
改めて確認すると、結構高栄養なことが分かりました。したがって、酒粕を使った料理も、高栄養になります。
酒粕でつくる甘酒と米麹からつくる甘酒
私が働く特別養護老人ホームで夏祭りの計画がありました。
おやつにたこ焼きと甘酒を提供したいとのことで、協力を要請されました。
食材の準備は介護職員がするとのことで、購入時に質問がありました。
「酒粕甘酒と米麹甘酒、どっちも甘酒ですか?どっちにしましょう...」
お店では、両方売られているのですね。自分でつくるには、米麹は手間がかかり過ぎますが、酒粕なら手軽につくることができます。
米麹を60℃8時間発酵させる方法と、酒づくりですでに発酵が済んだ残りの粕を煮てちょっと味付けするだけの2通りの方法です。
どちらにも発酵の工程があり、もちろんうれしい栄養素が含まれています。
【甘酒】が夏の季語になった理由
令和6年の夏は、非常に暑かったですね。江戸時代も、今ほどではないかもしれませんが、暑かったはずです。
今のようにエアコンはありませんので、当然のことながら食欲不振や夏バテがみられました。
夏バテ防止や体力回復のため、甘酒が飲まれていたようです。
米麹甘酒は、「飲む点滴」と言われます。ブドウ糖とビタミンB群が非常に豊富で、素早く吸収できるため、疲労回復に有効です。
酒粕甘酒は、食物繊維、アミノ酸、ビタミンB群が豊富で、こちらも高栄養。
いつも時代も、夏は大変だったのかもしれませんね。
発酵の力!酒粕がもたらす美容と健康への効果
酒粕が体によいことは、皆さんご存じです。では、なにがどうよいのかを解説しますね。
レジスタントプロテインとは
レジスタント(消化されにくい)プロテイン(タンパク質)です。油を吸収するという食物繊維のような働きをします。
通常、タンパク質は消化酵素により、アミノ酸に分解されますが、レジスタントプロテインは分解されず腸まで運ばれます。
消化されずに腸まで届き、腸の蠕動運動を促進し、便のカサ増しをすることで、排便を促してくれます。
酒粕に含まれる栄養
タイトルテキスト
- ビタミンB群
- タンパク質
- 食物繊維
- オリゴ糖
ビタミンB2皮膚の健康維持に有効で、100gあたり0.26mg含まれます。
ビタミンB6はタンパク質の代謝を助ける働きがあり、100gあたり0.94mgと豊富に含まれています。
食物繊維も豊富で、オリゴ糖とともに腸内環境を整えてくれます。
捨てるところなし!酒粕の無限の可能性
酒粕は、食べるだけではありません。美肌作りに、即効性を期待できます。
直接、肌に塗る。そう、酒粕パックです。週2回程度、やってみてください。
酒粕パック やり方
- 顔を洗って清潔にする
- 酒粕と水をナイロン袋などに入れてよくもみ、顔に塗って垂れない程度にふやかす
- 顔やからだに塗る
- 5~10分たったら、洗い流す
【注意点】
- パッチテストをする
酒粕にはアルコールが含まれており、刺激となって赤みが出る場合があるので注意しましょう。
- 加熱しすぎない
アルコールを飛ばすため、電子レンジで温めすぎないようにしましょう。
発酵によって生成された酵素などは熱に弱いので、30秒ほどにしましょう。
酒粕を使った簡単レシピ:発酵の力で食卓を豊かに
酒粕といえば、粕汁ですよね。でも、使いみちは無限大なんですよ。
鍋はもちろん、汁もの、炒め物、スイーツなどなんでもできます。
中でも、簡単な味噌粕漬けをご紹介したいですね。
味噌と酒粕を合わせ、魚を漬けるだけ。魚は銀だらがおすすめですが、鰆などの白身魚もおいしいです。
このレシピは、私が管理栄養士として厨房で働いていた頃、取引していた魚屋さんが漬け込んで納品してくれたものです。
焼くだけで調理も簡単なうえにとてもおいしい。忙しい人こそ、休みの日に仕込んでおくと、夕食に焼くだけでいいので非常に便利ですよ。
銀だらの味噌粕焼き
(材料)
- 味噌...200g
- 酒粕...200g
- みりん...50g
(手順)
- 酒粕とみりんを合わせる。酒粕が硬い場合は、電子レンジで少し温めてゆるめる。
- 1に味噌を混ぜると、味噌粕床ができる。
- 2に魚を1日漬ける。
酒粕のパウンドケーキ
(材料)
- ホットケーキミックス...200g
- 酒粕...100g
- サラダ油...80g
- 砂糖...80g
- 卵...3個
- 牛乳...大さじ3
(手順)
- オーブンを180℃に温め、型にクッキングシートをしく
- 酒粕はやわらかくし、すべての材料を合わせる
- 生地を型に入れ、180℃で30~40分焼く
このパウンドケーキ、酒粕好きにはたまりませんよ。
まとめ
- 酒粕を使ったメニューは非常に豊富
- 酒粕には食物繊維、タンパク質、ビタミンB群、アミノ酸が含まれる
- 便通を整える働きがある
- 酒粕パックとしても使い途がある
- 魚や肉を酒粕に漬けるだけで、立派なメイン料理が完成
健康に美容に、いろいろ使い途があります。難しくはありませんので、ぜひ料理にも使ってみてください。