昔、おばあちゃんが作ってくれた梅シロップ。とてもおいしかったから、初挑戦して自分で作ってみたら、カビでしまった...というあなた。
どうやってもカビることはありますが、しっかり洗って、水が上がって砂糖が溶けるまでこまめに振ることがカビ防止には重要です。
その他、容器や梅の実をしっかり乾燥させたり、風通しのいいところで保管するなども梅シロップづくりの基本ではあります。
最近、梅仕事に挑戦する人が増えたように思います。その中でも、梅シロップの手順はとても簡単です。
しかし、カビが発生してしまったということは、作業工程のどこかに原因があるのでしょう。
この記事では、管理栄養士として施設での調理業務や食品衛生に携わった経験のある私が、カビの原因や対策を詳しく解説します。
来年はおいしい梅シロップを楽しめるよう、ぜひ最後まで読んで下さいね。
梅シロップがカビた原因は何だったのか?
完成を楽しみにしていた梅シロップのカビが生えてしまったのですね。
最大の原因は、毎日よく振って砂糖を溶かし、梅の実に果汁を作かける作業が足りなかったのではないでしょうか。
カビが生えてるんだけど大丈夫かなぁ
数日前に、友人3人に梅仕事講座を開催した数日後、カビが生えたと心配のLINEが届きました。
この時は、二人が梅シロップを、あとの1人は梅干しと梅酒を作りました。
そして、梅シロップを作った2人共がカビが生えてしまったのです。
私も、原因を考えましたが、思いあたる原因が見つかりません。
瓶は熱湯消毒したし、梅も洗って水気をふき取り、しばらく乾燥させたので、水分が残っていたり雑菌が残っていたとは考えにくい。
私は毎年、職場の特別養護老人ホームで梅シロップを作り、利用者に提供しています。
材料の梅は、施設内にある梅の木から収穫します。多いときは1本の梅の木からほぼ一人で33kgもの梅を収穫しました。
そして、一人で梅を洗い、一晩乾燥させます。手作業で大変なヘタ取りはデイサービスの利用者に手伝ってもらい、砂糖と梅を交互に詰めていきます。
その1か月後には、特養、デイ、ケアハウスの利用者全員が、おいしい梅ジュースを味わってきました。
梅と砂糖を詰めた後のお世話も一人でしていましたが(8リットルの瓶10本!)、今まで、カビが生えたことがありません。
自分なりに、おいしいシロップ作り方や注意点を心得ていたつもりですが、カビの原因や対策を今一度整理してみました。
保存容器や梅の実の乾燥不足
水分が容器や梅に残っていると、カビが発生してしまいます。洗った後は、しっかり乾燥させましょう。
毎日振っていない
砂糖と梅の実が触れている部分から果汁が引き出され、よく振ることで砂糖が早く溶けます。
これは、砂糖の吸水性によるものです。そして、砂糖の濃度が濃くなることで、保存性がアップします。
また、定期的に振ることで、梅の実に【果汁+砂糖】がかかることでカビ防止に役立ちます。
梅の実が果汁に浸からず出てしまっている
カビは、空気に触れることで発生、繁殖します。できるだけ早く梅の果汁を引き出し、梅の実が浸かるようにすることが大切です。
そうすることで空気を遮断し、カビの発生を抑えることができます。
風通しのいいところで保管する
気温が高いと、どうしてもカビが発生しやすいので、風通しがよいところで保管しましょう。
難しい場合は、冷蔵庫で保管しましょう。
梅シロップのカビと発酵と対処法
梅シロップに生えるカビには2通りあります。黒・青カビと白カビです。
黒カビの原因は、空気中に浮遊するカビ胞子。そして、白カビの原因は酵母菌が原因なのです。
私の友人は二人とも白カビが生えました。したがって、酵母によるカビだということですね。
そして、その白カビは膜が張っていたようです。白いカビで、膜が張っている場合は焦らず対処しましょう。
酵母は、悪いものではないので、きちんと対処すれば問題なく飲むことはできますよ。
それでは、カビの発生を抑えるにはどうすればよいのでしょうか。
その逆をすれば、カビは生えにくくなるので、その条件を押さえておきましょう。
カビの発生条件
発酵とは
食品に微生物【菌・カビ・酵母】が増えることによって起こる良い変化をいいます。
発酵によって、味がおいしくなったり、栄養価が高くなったりしますね。
代表的な発酵食品
- パン...イースト菌(酵母)
- 醤油...麹菌、乳酸菌、酵母
- 味噌...麹菌、乳酸菌、酵母
- チーズ、ヨーグルト...乳酸菌
- ぬか漬け...乳酸菌
カビと発酵の見分け方
人にとって、微生物がふえることによって良い変化が起こった場合は発酵です。
また、悪い変化が起こる場合、これを【腐敗】といいます。
ふなずしやくさやなど非常に強いにおいを放つものでも、好きな人にとっては発酵食品であり、嫌いな人にとっては腐敗でしかないのです。
発酵と腐敗は紙一重なのですね。
カビがついた梅シロップの対処法
- 消毒したお玉で梅の実を取り出す
- 梅の実に付いた白カビをきれいに取る
- シロップに入った白いカビもあみじゃくしなどできれいに取る
- ビンをきれいに洗い、ホワイトリカーなどで消毒する
- シロップを70℃くらいで約10分火を入れる
- 粗熱がとれたら、シロップをビンに入れ、冷蔵庫でビンごと保管する
梅シロップのカビと砂糖の役割【保存性向上】
梅シロップは、材料や手順も非常にシンプルですが、そのあとのお世話が重要なのです。
実は、砂糖の選び方にもお世話のしやすさに違いがでるのです。
私は、安いという理由で上白糖を使っているのですが、もう一つの理由として梅の実から果汁が出やすく、砂糖も溶けやすいことがあります。
これが、カビが生えにくい理由なのではないかと考えています。
早く果汁が出て、梅の実全部が果汁に沈むことで、空気から遮断することができるのではないかという私の仮説です。
そして、よく調べてみると、砂糖の種類の違いが分かってきました。
砂糖は溶けやすいほうがいい
梅シロップを漬ける中で、上白糖は果汁が出やすく、早く果汁の砂糖濃度を上げることで、保存性を上げることに努めていました。
そして、砂糖の粒が小さいほど溶けやすいと感じています。
しかし、粒が小さい分、砂糖が沈殿した後はしっかり瓶を振らないと、沈殿した砂糖は溶けてくれません。
これが、上白糖を使用する上での注意点ですね。
また、砂糖にはほかに、どんな性質があるのか調べてみました。
砂糖の性質
- 吸水性(脱水作用)
- 保水性
- 防腐性
- 酸化防止
溶けやすい砂糖ランキング
私は梅シロップづくりに上白糖を使っていますが、ほかにも砂糖の種類はありますよね。
溶けやすさをまとめてみました。参考にしてみてくださいね。
まとめ
- 梅シロップのカビの原因は保存容器や梅の水分が残っていた
- 梅の実が果汁に浸からず空気に触れる時間が長かった
- 保管場所の温度が高かった
- 梅シロップの瓶を毎日振っていなかった
- 酵母が付いて発酵していた、その場合は火を入れて問題なく飲める
- どんなに頑張ってもカビが生えるときは生えてしまう原因不明な場合もある
梅シロップだけでなく、食べ物は何でも日々のお世話が大切です。
梅の実は6月の約1か月しか出回らずやり直しが難しいので、カビの原因を心に留めて、この時期は頑張って瓶を振りましょうね。
また、冷凍の梅を使うのもありですよ。